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防犯コラムColumn

「侵入盗」のアーカイブ

引越し ②引越し中の防犯

前回は引っ越し先・新居の防犯についてまとめました。今回は引っ越し作業に関わる防犯についてです。
【引越し見積もり先で腕時計を窃盗】 【引越し後の荷ほどき中に強盗】
こんなニュースもありますので新居及び引越しの準備~完了後、生活が落ち着くまで、用心が必要でしょう。


■引越し業者さんは信頼できる?

実績のあるしっかりした業者さんか、社員教育や管理ができているかは判断すべきですが、信頼できるかの度合いは担当者次第になるのが実情でしょう。
特に搬出搬入は正社員だけでなくアルバイトを含めたチームの仕事になる為、自分でもしっかり立ち合って荷物の確認・管理をしましょう。


【見せない】
ニュースでは引越しの見積もり担当者でしたが、どんな業種の誰だろうと家の中に人を通す際には用心が必要です。

①ブランド品や貴金属・貴重品、腕時計、アンティーク品やクレクターが欲しがる収集品等を見える場所・分かりやすい場所に置かない。

②貴金属・腕時計・ブランド品、金回りが良いと判断できるそれらを身に着けない。

「有名なブランドじゃないから」「実は偽物だし」は関係ありません。価値がある、貴重な物や金目の物が入っていそう、お金を持っていそう、に見えるとターゲットに選ばれやすくなります。

訪問者が実はお金に困っているけれど見なければ、知らなければ誘惑されず、何事もなく済む場合もあります。仕事で訪問した人間は足がつきやすい為リスクを負わず、情報だけ流す(下見係と同じ)という場合も。
さらには「あそこの家、ポルトギーゼがあった!奥さんはデファイつけてたし。ウチの給与じゃなかなか買えないなぁ」等の悪意ない雑談が別の誰かの耳に入り…ということもあります。

③腕時計ケース・ジュエリーボックス、しまえる物は見えない場所へ。
飾り棚のような動かせない物は下手に覆う等する方が興味を惹いてしまいます。

④金庫のしまってある場所は普段は知られないようにする。
「手提げ金庫だからウッカリ出しっぱなし」「帳簿と小銭しか入ってないから」、処分に困って「使っていない金庫だから台にしている」としても、金庫というだけで下心のある相手に中身を期待させてしまいます。

しかし個人では運べない金庫の場合、引越し存在を隠すわけにはいきませんので →⑤

⑤引越しの場合、金庫の中身は見せない。
手提げ金庫なら自分で運べますが、耐火性能や防盗性能の金庫はサイズ以上の重量があり、見積もり業者には運べる重量の金庫かどうか、特別料金の有無等の確認が必要になります。

・事前に調べてみる。サイトで金庫についての記載があるか、あるいはメール等で問い合わせ。

・見積もり担当が金庫を確認することになった場合、金庫がある=厳重にしまう必要のある金目の物を持っている、と思われるのでいっそ中身を空にした状態で見せてしまう。

・金庫は金庫専門の業者に依頼する。例え専門業者だとしても実績の有無や評判の確認、安かろう悪かろうの可能性等も含めた業態の確認等、厳選する必要があります。
 ※引っ越し業者も運搬業者も金庫の中身(金目の物)、保証のリスクが高い物については運搬をお断りしている筈です。

・銀行の貸金庫利用等に移行して金庫を処分してしまう。
 ※金庫は適正処理困難物の為、粗大ごみとして処分できない自治体が多く、購入先や金庫引取り可能な不用品回収業者等に依頼します。


【ひとりにしない・目を離さない】
セールスマンや業者を室内へ入れた際は目を離さない、ひとりにしないようにします。
万が一、相手に下心があれば「〇〇(印鑑や書類)はありますか?」等、離席を促す場合もありえます。警官や銀行員を装った特殊詐欺がカードをすり替える際の手口と同様。

見せたくない・開けてほしくない場所、ひとりにしたくない場所に通したなら、想定される必要な物や情報はあらかじめ準備しておく。別の部屋にある場合は離席せず、今は分からない・後で探して連絡する旨を伝えましょう。

かなり古い私の経験では、引越しの見積もりで担当者が家中うろついてチェックというのはありませんでした。大きい・特殊な家具や家電くらいは確認が必要ですが、こちらでサイズや容量をあらかじめ把握して伝え、必要なダンボール数を相談、担当者はほぼテーブルに座って端末操作してすぐ金額を出してくれるイメージです。


【引越し最中はセキュリティオフ状態】
引越し業者さんの信用問題以前に、引越しの最中というのは家がセキュリティオフになると思って臨みましょう。
搬出時・搬入時ともに傷をつけないように養生マットで保護された玄関のドアは開け放たれた状態です。マンションならエントランスのオートロックも解除・養生マットで保護されて開け放たれています。

慌ただしくすべてに目が行き届かない中、あやしまれない格好をしていれば出入り自由です。
 ※参考【マンションの危険 ①人】

たった1~2分程、手荷物から目を離したら財布が無かった!なんて置き引きに遭う危険があります。


■引越しや持ち物について口外しない

大金を持っている、皆が羨ましがる物を持っていることをSNSや居酒屋で自慢したことで空き巣や強盗に遭った事件があります。
また引越しや旅行等も同じです。不在が分かりやすい、目が行き届かない状況は狙われやすくなります。
 ※参考【SNSと侵入盗】

新生活の始まりを仲間に知らせたり共有したくなるかもしれませんが、不特定多数に聞かれる場所で話さない、SNS等にも書かないことです。

学生や若い人、1ルームマンション住まいはあまり狙われないだろう、と思われるかもしれませんがそんなことはありません。
引越し時はまとまったお金を持っている確率が高い上、もともと1ルームマンション住まいは不在が分かりやすい、あまり防犯対策をしていない・近所付き合いがなく隣人も助けに来ないだろうというの推測、鉢合わせても1対1なら制圧しやすい等の理由から、狙われやすいと言えます。

名古屋市中区で引越しの荷ほどき中に女性が襲われた事件でも、引越しをすること・現金を持っていることを犯人グループに知られて狙われた可能性もあります。

本人が漏らさなくても職場や知人、不動産業者、引越し業者、引越し中に頼んだデリバリー業者、新居用の購入品を届けた宅配便、インフラ等の業者等、誰から見られてどこからか情報が流れる可能性がある為、自分で可能な限りリスクを減らすこと、自衛として防犯対策をしましょう。



【自分で管理】
荷物の搬出・搬入の際には、貴重品(通帳・キャッシュカード・印鑑、クレジットカード、株券、小切手、貴金属、その他高額な品)、身分証(免許証・パスポート・マイナンバー・保険証・年金手帳等)、自分で搬出搬入、引越し作業中は安全に保管・管理できるようにしておきましょう。
引越し業者は現金やお金に換わる物や貴重品・高級品等の搬出搬入はお断りする会社が多い筈です。

大切な物・貴重品は引越し最中にソレと分からないようにする、あるいは別日に移動する。
業者さんや通行人や他住人等の目に触れない工夫をして運び出し・運び入れをしましょう。誰かがいる場では目を離さない、取り出さないようにしましょう。
段ボールだらけで何がどこにあるか分かり難い、すぐに整理できない状態の家の中では紛失か盗難か判断が難しくなります。そういった隙を狙われないようにしましょう。

個人情報につながる物も自分で運ぶのが安心ですが、業者さんにお願いする際は自分は判別できるように、けれど他者にはそれとは分からない記載、箱が破れたり隙間ができても見えないように工夫して梱包しましょう。
業者さんの搬出搬入作業に必要な情報は、ワレモノかどうか、積載の許容範囲、搬入の部屋です。
中身は自分が荷ほどきの際に分かれば大丈夫です。


【現金の管理】
引越し中は玄関扉を開け放って業者さんが出入りします。引っ越し業者さんは勿論、ガスの業者さん、新居用に購入した家電家具の配送業者さん、デリバリー等+マンションの場合は他住人や他の部屋へ用のある業者さんもいて出入りが激しく、マンション自体(エントランス及び共有部)も開放状態で建物自体が無防備です。それらしい格好や堂々とした態度でさっと入れば怪しまれません。

しかも引っ越し時は何かと入用で、特に現金払が必要になるなこともあるでしょう。
現金を多めに持ち歩いてる時家に置いている場合は、携わる業者さん含め、たとえ知人であっても知られないように細心の注意が必要です。
その上で、できるだけ引越し前・最中・後は必要な金額以上は持ち歩かなくて済むようにしましょう。
各業者さんへの支払いが現金だとしても、金額は先に分かっている場合が殆どです。必要額だけ封筒に分けて別にしておき、他の支払い分やメインとなる所持金やその在処は見せないようにします。
さりげなさも必要です。警戒心露わで明らかに大金を持ち歩いていると分かる挙動は逆に注意を惹いてしまいます。

バッグ等も置き引きに遭わないよう注意しましょう。現金を持たないようにしても、新居の鍵を盗まれたり合鍵を作られでもしたら意味がありません。


【自分で搬出搬入時の注意】
自分で可能な範囲の荷物とはいえ、搬入搬出のプロではありません。重い物や壊れやすい貴重品等を運ぶのは大変です。
手がふさがっているから、連続して運び出し・運び入れをするから、と施錠しないままにしてはいけません。引越しを狙う犯人は引越しの手間暇苦労、慌ただしさによる隙を狙っています。必ず運び出す毎、運び入れる毎に施錠しましょう。


用心して荷物の搬出搬入を済ませたものの、新居のセキュリティが弱くては意味がありません。慌ただしく慣れない環境下、玄関及び窓の施錠・確認をしっかりして、安心できる新生活を始めてください。



引越し ①新居の防犯

進学・就職・転勤等に伴い、引越しの多くなる時期が近づいていますね。
引越し先・新居の防犯について、お客様から質問・相談された内容も含めてまとめます。



■新居の防犯はどうすべき?

引越し前に新居のセキュリティを確認し、必要に応じて強化しておきましょう。

【物件・環境の確認】
①新築でカスタムオーダー可能なら、できるだけ防犯性能の高い錠前や窓も施錠可能(鍵付きクレセントや補助錠)にしましょう。
小窓や換気窓には防犯格子がオススメです。ルーバー窓(ジャロジー窓)は防犯上オススメしません。
 ※参照【換気窓は狙われる!】

②既に建築済新築の戸建てやマンション、賃貸や中古の場合、内覧時にできる限りセキュリティがしっかりしているか、玄関と窓の錠前はどうなっているか、確認しましょう。
錠前や鍵から調べることが可能です。
 ※鍵の刻印が錠前メーカーか合鍵メーカーか判断できないと思うので、不動産屋さんに訊ねるか、鍵の形状と錠前の刻印を自分で確認しましょう。撮影はNGです。

左は刻み(ギザギザ)
右はディンプル(表面に彫ってある)

・錠前のメーカー・種類(刻みかディンプルか)が分かれば、各メーカーサイトでおおよそ性能や耐久度を調べることができます。 ※シリンダー錠 ←一部のみですがご参考に

・サムターン対策の有無、シリンダーの数、ドアスコープは埋込みかネジ式(回せば外れる)か、窓にはクレセント錠のみか。

・共有部(エントランス)のオートロックについて、入居者にルール説明があるマンション・アパートは管理がしっかりしています。

②ゴミ置き場を確認する。
ルールを守っていない、管理されていない集合住宅は侵入盗に狙われやすいと言えます。
一軒家の場合でも周辺環境の治安や住民の周囲への関心度の目安になります。

③周辺環境・治安を確認する。
不動産業者へ「治安は良いですか?」と質問すればあまり悪く答えられないと思いますので、治安状況を判断できる具体的な質問にしましょう。
その上で自分で確認します。時間帯や曜日によって見え方は違ってきます。
 ※参考記事
 【我が家の周辺から防犯しませんか?其の壱】 【マンションの危険】

 ※地域情報を調べるのも効果的です。近所でベランダから侵入する空き巣事件が連続、バールこじ開け侵入盗事件があった等で依頼されたお客様もいらっしゃいます。

④中古や賃貸の物件であれば、不動産業者へ錠前の交換について確認しておくべきです。契約書の内容にも目を通し、錠前の交換及び費用について記載の有無や内容等、気になることがあれば確認を入れます。
 ※交換のタイミングや、敷金に含まれるか別途請求か等、業者や物件ごとに異なります。

⑤現状確認した上で、セキュリティを高めるか否かを決めましょう。
業者に相談、あるいはセキュリティ診断や見積もりを取るのもよいでしょう。

 ※賃貸やマンションの場合は管理規約で制限もありますが、賃貸用の製品も増えつつありますし、シリンダーを上位のシリンダーへ交換する場合、退去時の原状回復も受け付けている業者もあるので確認してみましょう。


■セキュリティ強化する場合

【業者は厳選しましょう】
引越し前にセキュリティ診断及び対策を業者に依頼するのもよいでしょう。その場合、業者の選定はしっかりしましょう。
いくら安くても個人情報をしっかり守って信頼できる業者でなければ、引越しの情報や新居のセキュリティ情報が侵入盗に流れてしまうおそれがあります。

例えば「鍵を無くして解錠と合鍵作成を依頼した」だけのつもりでも→鍵の種類や配列を知られ住所を知られた=その鍵屋さんは貴方の家へ入ろうと思えば入れてしまう!のです。もしくは財産と安全な暮らしを守る重要な情報を第三者へ渡すこともできてしまいます。
新居のセキュリティ対策ともなれば、せっかくお金をかけて対策するのに、そのセキュリティ情報を明け渡すのと同じです。何ならこっそり合鍵を作っておけば、鍵屋さんは家族同様に証拠を残さず侵入できてしまうのです。
プロとしての職業倫理とプライド、自社と鍵業界の信頼を守る為、そんなことをする鍵屋さんはいない筈!ですが、それだけ重要なモノをゆだねる相手は慎重に見極めてください。

Webで簡単に情報を得られ、依頼できる時代ですが、実態を確認できているでしょうか?
重要度・機密度によっては便利さより手間暇をかけて確認した方がよい場合があります。
様々な業態の業者がある為、依頼した会社とやってきた業者の名前が違ったり(子会社や下請け会社)、同じ会社だと思っていたら経営が違ったり、名前が似通っているだけの別会社だったりもします。
大手に登録・契約して看板が同じなだけでルールや教育が徹底されていない、サービス品質・技術は現場技術者任せでバラバラ、薄利多売で現場技術者が苦しい中でどうにかしている等、トラブルやミスが発生しやすい内情があったとしても、HPや広告からは判断しにくいでしょう。
安いに越したことはありません。しかし安さには理由がありますし、ニュースになったり消費者庁に苦情が寄せられる悪質な業者があるように、安値をうたって後から高額請求されるトラブルもあります。

私ならできるだけ「責任の所在から逃げることができない・たらい回しやごまかしのできない相手」を選びます。
会社と責任者の所在をこちらが掴んでいる=赴いて確認できる、責任者と直接やり取りできる、現場責任者または担当と名刺交換(氏名・所在・部署・連絡先把握ができる)等で身元・所在把握できる、ならば万が一の際に追及できます。トラブルが起きていざという時、メールのやり取りが途切れる、電話で捕まらない、では困ります
お客さんの鍵を預かった際の扱い方や情報に関わる書類、メモ書きひとつの扱いでも、きちんと個人情報保護をしているか判断できます。

※過去記事
鍵と情報のリスク 【鍵屋さんの選び方①】 
広告や値段の注意点 【鍵屋さんの選び方②】
鍵屋さんの業態やサイトを見るポイント【鍵屋さんの選び方③】


【窓と玄関を守りましょう】
一軒家か、何階建てか、マンションか、何階の部屋か、窓の種類や位置、ガレージや庭の状況等よってすべき対策や範囲の違いはありますが、防犯の基本としてまず窓と玄関を守ります。
鍵で守るのか、鍵+α(防犯カメラ、防犯センサー、防犯フィルム、防犯格子、ガードプレート等)で守るのか、敷地内にリスクになるポイントがあるか否か等、予算や事情・環境で異なります。
 【被害に遭いやすい家 其の弐】 【窓こそ守ろう お手軽編】 【窓こそ守ろう ガッツリ編】
 【被害に遭いやすい家 其の参】 【出口を守ろう】 【引戸・引違い戸を守ろう】 【ガラス製の扉】

引越し業者さんの搬入作業が済んだら、すぐセキュリティをオンにできるようあらかじめ準備しておきたいところです。
しかし引越し業者さんに防犯対策の情報が漏れては意味がありません。

窓の補助錠の位置や設置する姿はできるだけ見せない方がよいでしょう。補助錠の仕組みや位置が知られると、簡易錠なら誰でも開けられてしまいます。
補助錠がダイヤル式なら設置した後は必ず暗証番号が分からないようにランダムにしておきます。取り外した状態では暗証番号に揃っている為、見られてはいけません
鍵タイプ撮影されたり、短時間だけ持ち出して合鍵を作られないようにしましょう。

玄関の鍵を防犯性能の高い錠前に交換、あるいは補助錠を追加する場合も鍵は見せない手放さないようにしましょう。
鍵そのものを撮影されて複製、種類によっては刻印されたキーナンバーで複製可能な為、盗み見られないように注意しましょう。
※参考【キーナンバーから合鍵複製 侵入盗事件】


■入居時に渡された鍵って安心?

お客様によく質問されるのが「賃貸や中古マンション・中古戸建に引越した際、錠前は交換した方がいいか?」です。

当然ですが安心なのは、防犯性能の高い錠前に交換する、または防犯対策品の補助錠をつける、です。
 ※賃貸やマンションは管理規約で制限されている場合がある為、規約に引っかからない対応が必要。

「引越してすぐ2回も空き巣に入られた」というお客様から相談を受けたことがあります。警察に調べてもらいましたが窓や玄関に痕跡は無い為、2回とも玄関から鍵を使って侵入の可能性が高いとのことでした。

ドアから痕跡無しの侵入で考えられる手段は、ドアスコープが取り外せるタイプでサムターン対策をしていないドアならサムターン回し、解錠が容易な錠前であればピッキング、ピッキングの難しい鍵なら合鍵で侵入したと考えられます。
合鍵の場合、可能性として前の住人の合鍵や大家・管理会社保管の鍵から流出、もしくは家主の鍵から合鍵が作られたのかもしれません。

賃貸(マンション・戸建て)や中古(マンション・戸建て)の場合、錠前が交換していないと、もし前の住人が合鍵を作っていたら入ることができます。
前の住人が合鍵を家の前で無くしたり、住所の分かる物と一緒に落としたことがある、住所を知る誰かに盗まれる等していれば、更に第三者が入ることができます。
入居者が変わる際の錠前交換は大家または管理会社により違います。新品に交換する場合もあれば、別の空き部屋のシリンダーと交換し合うという賃貸不動産業界のコスト削減の裏技もある模様。
鍵や鍵穴の見た目(色合いや傷)があきらかに古い、使用感がなければ区別がつきにくいことも。

家主の鍵から合鍵を作って侵入する事件もよくあります。
例えば鍵を盗み見ることができた誰かが鍵全体または刻印されたキーナンバーを撮影して合鍵を作製
バッグの中から短時間だけ盗んで合鍵を作り、また元に戻しておくことのできる状況や環境(図書館や病院等長居する場所でバッグを置きっぱなし、会社等でロッカーやデスクに長時間置いておく等)がある等。
 ※不審に思われず鍵(の入ったバッグ等)へ接近できる、住所も把握できることにより侵入可能となる為、犯人が知人である可能性も含まれ、侵入目的が窃盗だけでなく更に危険な場合も考えられます。

いずれにせよ交換した方が安心であり、一度でも侵入されたら安全の為に至急交換すべきでしょう。
シリンダー交換と同じ業者なら退去時にシリンダーの現状回復も受ける所もあるので、交換検討の際に確認しましょう。現状回復希望であれば元のシリンダーと一緒に交換依頼した際の請求書やレシートを保存しておきます。

※補足
窓によっては痕跡を残さず侵入することも可能です。但し高い技術と特別な道具が必要で時間がかかる為、空き巣の手段はこじ破りが多くなります。
どちらにせよ「玄関から侵入された!?」と思っても、窓の防犯対策は重要です。



次回は引っ越し作業における防犯についてです。



【NEWS】強盗が鍵を開けさせる方法


しっかり施錠してある家の鍵や扉を壊す…という手段を取らずに、中へ入って金目の物を奪う手段があります。

【朝にピンポン!ドアを開けたら強盗3人組】
朝7時半頃にインターホンが鳴り、75歳女性が玄関のドアを開けると3人組から刃物のような物を突きつけられた上に縛られ、現金3000万円の入った金庫2つを奪われるという強盗事件が起こりました。

朝早くにやってくるなんて警察か親しい人間、しかも切迫した用事?と思ってしまいそう。私だったら寝ぼけて頭が回らず、けれど明るくなった時間帯なので隙だらけでしょう。大抵はどのお宅も朝は出かける準備や家事諸々で忙しく、早く対応を済ませようとするかもしれません。
そんなふうに寝ぼけて&急いで容易に扉を開けてしまいがちな時間帯を狙われたのか。

もしくは入念な下見を重ね、被害者の日課に合わせたのかもしれません。例えば決まった曜日・時間帯に友人やデイサービスのお迎え、ヘルパーさんが訪ねてくる等、被害者がいつもの訪問者だと思い込んで無防備に開けることを見越したのか。

しかし「寝ぼけて相手を疑わなかった」「うっかり知人と思い込んで確認せず開けてしまった」犯罪者がこちらのコンディションや都合を配慮するわけがなく、むしろソコを狙ってくるのですから、どんな理由にせよ命取りです。押し入り強盗は本当に危険です。

今回の被害総額は金庫の3000万円。犯人側はたまたま狙い易い家だと思ってやって来たのか、現金の存在を知っていたから来たのか、で防犯の見直し部分が出てくるでしょう。
今回は持って逃げられる金庫でしたが、押し入り強盗は持ち運べない金庫なら凶器や暴力で脅して開けさせたでしょう。


今回のニュースのように、家主の不在時にこっそり侵入するのではなく敢えて家主のいる時間帯を狙ってやって来ます。

侵入の手口としては、
①相手の心理を利用してうっかり無防備に開けさせる。
 ※油断したり冷静さを欠く訪問理由・時間帯・何者かを装う等。
 ※トイレ貸してと言って相手の良心に付け込み、強盗に及んだ事件もあり。

②インターフォン越しだけの対応では済まさない何かしらの口実で扉を開けての直接対応を求め、家主自らにセキュリティを無効化させる。この場合、何者かを装って訪問する。
 ※過去記事【空き巣・強盗と特殊詐欺が合体

肩書や姿だけ見て
開けてしまうのは危険

③無締りの時間帯を調べて侵入する。
無施錠にしてしまう時間帯の例…ゴミ出し、ポストから新聞・郵便物を受け取る、ヘルパーさんの訪問、通勤通学。

※足腰が弱っている為ヘルパーさんの訪問前に少しの時間だから、と『無締りのまま出勤して親を任せる』『玄関前を通る際に解錠してヘルパーさん来訪を待つご本人』が意外といらっしゃいます。
その家がいつ無締りかヘルパーさんしか知らないと思っているでしょうが、意外と知られています。ヘルパーさんが雑談で誰かに言う、あるいはお迎えが交代すればスタッフ間で情報共有されて知る人が増えればリスクも増えます。

※通学・通勤で各々が家を出る時間が数分~数十分差だから…と鍵をかけずに出かける。

朝はルーティンで動く人間が多い時間帯です。毎朝通る近所の人間は私のように「鍵を開けたままにしている」「鍵を締めずに出かけた」家主の行為を目撃して気づく場合があります。通行人が気づくということは、侵入盗は必ず下見をするのでバレます。

④訪問を装わず、音やトラブルで家主を外へおびき出す。
敷地内・家のすぐ外で異音を立てたり、ガスや水道の元栓を締めて確認に出てきたところを襲う手口もあります。
 ※過去記事【装った手口の次は装わない】

空き巣居空き忍込みと呼ばれる侵入盗と押し入り強盗の違いは、被害金額が同じだとしても強盗の方が何倍も危険でありトラウマも強く残ることです。
空き巣・居空き・忍込みと遭遇した際には危険ですが、犯人の心理的にはできるだけバレずに盗んで逃走したい犯人の手口です。その為、逃げる為に暴力を行使します。
押し入り強盗は最初から凶器等で脅し、声も聞かれ風体もさらすリスクを冒して犯行に及ぶ手口です。自身の安全と逃走時間を稼ぐ為に被害者を縛り、金庫や口座の暗証番号を聞き出すのに脅迫や暴力を加えてくるおそれがあります。
殴られなくても縛られて口を塞がれた状態で放置され、外部に助けを求められず脱水症状、季節によっては熱中症や肺炎、持病のある方は薬が飲めずに危険な状態に陥ることもありえます。

強盗は被害者を助けの呼べない状態にして
逃走時間を確保します

また、強盗にまで及ばないものの2人組でやって来てひとりが家主と対応している間にもうひとりが庭や裏口から侵入して盗む、気づかれたら挟み撃ちにして強盗に豹変!という手口もあります。
インターフォン越しで対応で対応し、身元や訪問理由の確認が取れるまで敷地に入れない・ドアを開けないようにしましょう。

実際に警察官や役所の役員、銀行員、クレジットカード会社社員、インフラ系の点検員等に変装・偽バッジや手帳、名刺等を作成して出没しています。相手の差出した情報ではなく自分で調べた連絡先に確認が必要です。
 ※参考【特殊詐欺対策③変装は見破れる?】 【特殊詐欺対策③続・変装は見破れる?】



【NEWS】換気窓は狙われる!

換気窓は小型だったり開く幅が狭いから大丈夫!と思っていませんか?侵入盗にとって換気窓は狙いやすい窓です。

【換気窓30cmの隙間から侵入】
事件のあった店舗の換気窓用は外開き窓(滑り出し窓)で幅30cm。防犯カメラが設置されており、侵入盗の生々しい手口を知れ渡らせることができる映像有りのニュースです。

外開き窓(滑り出し窓)

しかも!!今回は30cmですが『18cmの隙間があれば侵入されると思え』が、私が鍵屋になる際に学んだ防犯知識です。割り箸の長さがだいたい19~20mですので、どんな小型の換気窓でも侵入される想定で対策が必要ということ。

割り箸の長さ

今回の事件、店舗側が締め忘れた?のか普段から開けたままなのか、どちらにせよこのご時世、特にコロナ対策を求められる店舗や事務所は換気の為に年中どこかしら窓を開けていることでしょう。侵入盗にとっては格好の獲物です。

換気窓といえばルーバー窓(ジャロジー窓)が水回りや空気のこもりやすい場所に用いられることがあります。
換気に便利で外観を損なわずに外からの視線を遮ることのできる窓ですが、防犯性能が非常に低い上に防犯対策し難い窓の為、要注意です。

ルーバー窓(ジャロジー窓)

仕事で夜遅くに帰宅してお風呂に入った後、換気の為に開けたまま就寝してしまう…あると思います。が!侵入盗に狙われる危険があります。


そもそも窓全般、誰でも開けられる簡易錠しかついていない場合が多く、防犯性能は無きに等しいのです。
映像で車から出てきた犯人は黒い棒状の物を手にしており、もし窓を閉めていたとしても容易に短時間で開けられてしまったでしょう。詳しくはコチラ…
 【窃盗に遭いやすい家 其の弐】 ※簡易錠1ロックだけでは無締りとほぼ同じ

暗証番号を知っているか鍵を持っている人だけが開けられる錠でなければ、防犯性能はありません。なのに窓には誰でも手を伸ばせば開けられる簡易錠しか付いていない家が殆ど。

レバーに手が届けば
誰でも開けられる簡易錠

しかもはめ込まれているのは割ることが可能なガラスのみ!
窓は建物の中で最も守りの脆弱な部分です。

「ガラスを割ったら音で周囲に気づかれそうだし、侵入盗は割るのを避けたがるのでは?」と思うかもしれませんが、こじ破りという方法ならその辺の道具であまり音を立てず指や手が通る数cm分だけの穴を開けることができてしまいます。

クレセント錠のレバー付近
指が通る数cmの穴で窓は開く

写真のようにクレセント錠のレバー付近に指が通る2cm程度の穴で窓は開けられてしまいます。
クレセント錠の色が違う部分は簡易ロックで、上にスライドさせておけばレバーをロックできますが、これも後数cm穴を広げれば開けられてしまいます。
手慣れた侵入盗ならこじ破りは2~5秒で事足りますし、ベランダならしゃがめば外から見えませんので焦って侵入する必要もありません。

さらには前述したルーバー窓(ジャロジー窓)の場合、こじ破る必要さえありません
ルーバー窓のメリットとしてガラスやアクリルの複数枚でできており、好きな角度に変えられ、交換も可能。
しかし外からでも角度を変えられるので覗いたり指等も入れやすく、ガラスやアクリルの板は取り外しが容易で侵入を許してしまいます。
この仕様の為、お手軽に対策できる補助錠や、窓強化になる防犯ガラスや防犯フィルムによる対策は不可能です。


大半の侵入盗にとって、とにかく!!窓!!な理由をお分かり頂けたでしょうか?過去のNEWS記事の通り、最上階ベランダ窓だろうが、1階の幅狭な換気窓だろうが、対策されていない窓へ近づくことさえできれば侵入はほぼ成功!だからこそ、窓の防犯を推奨しております。
【窓こそ守ろう!お手軽編】 ※比較的安価且つ工事無し!外開き窓用も有り
【窓こそ守ろう!ガッツリ編】 ※要工事で防衛力強し!

※王道の対策はできないルーバー窓ですが、「まもルーバー」「インナーフェンス」といった防犯内格子なら外観を損なうことなく対策できるのでオススメです。

ちなみにガラスが貫通に耐えられる時間は、普通のガラスで2秒、写真のような網入りガラスは5秒(防災時の飛散を防ぐ為の網なので侵入盗からすればガラス飛散による音がしにくく破片が飛び散りにくいので好物です)、強化ガラスは30秒、防犯フィルムや防犯ガラスはグレードによりますが3分以上と言われています。


侵入盗は時間がかかるほど諦める率が上がるので、「窓に対策してある!」と気づかせること、途中で諦めさせることが重要になります。
冬に忍び込むのはサンタさんだけではありません。年末年始は泥棒にとって書き入れ時。長期不在前に防犯対策しておきたい!という方は是非窓回りもご確認ください。


内開き窓、外開き窓、ルーバー窓、賃貸(ビス穴を開けられない窓)、防犯センサー、窓そのものの防御力強化等々、対策のご相談・防犯商品のご紹介・お見積もり、受け付けております。
【お問い合わせ方法・各種】



マンションの危険 ②建物

エントランスで各戸順番にインターフォンを鳴らしていく人を見かけたことはありませんか?
セールスの方かもしれませんし、セールスを装った侵入盗が不在宅を確認しているのかもしれません。
 ※参考【泥棒の真の姿とは】

応答して断った→何事も起こらなかった。またはカメラで確認してセールスっぽいから居留守を使った。
いずれにせよ、こんなことがあった時は暫く注意を払った方がいいかもしれません。誰かがセールスマンを通してしまい、玄関へ直接訪問されるかもしれませんし、不在宅を把握した侵入盗がマンション内をうろついているかもしれません。
そして居留守を使ったお宅は…玄関だけでなくベランダ側にも気を配った方がよいでしょう。

マンションを狙う侵入盗を侵入手口で分けると、『共有出入口の隙を突く侵入盗』『1~2階狙いの侵入盗』『対策済みの1~2階を避けて3階辺りから狙う侵入盗』『屋上へ上がれる経路を探す侵入盗』になります。
侵入した場所がベランダや窓のある部分なら『窓の無締りまたはこじ破り』で屋内へ侵入。玄関側なら『無締りを物色して回る』あるいは『侵入しやすい家を物色して回る』でしょう。

ということで、今回はマンションの建物としての侵入されやすさについてです。


■死角や足がかりが多い

一軒家よりマンションの方が敷地が広く、必要とする施設や形状によって死角や足がかりになる物が多く、ベランダや共有部への侵入経路となりえます。

※マンションへの侵入を可能にしかねない物(足がかりや死角)
植木、柵や壁、配管、非常階段、エントランスや駐車場・自転車置き場等の屋根、物置、室外機用小型ベランダ、機械式駐車場、受水槽、消火防災設備、屋上バルコニー、看板、給水槽、太陽光パネル、等々…

必要な設備が死角にもなり
足がかりにもなる

敷地が広く死角や侵入経路になりそうな場所が多い分だけ防犯対策に費用が嵩みます。
さらには隣接する建物が足掛かりや渡りを可能にする場合もありえます。
 ※隣りの建物が侵入を可能にした例【NEWS:最上階は狙われる】 

そうなると周辺環境を加味した対策を講じねばなりません。しかも一軒屋であれば家族だけで防犯対策の導入を決められますが、マンションでは組合で定められた住人の同意が必要になります。決して一家族の意思では決められません。


■防犯対策の差

一軒家は外から見て防犯対策の度合いをマンションよりも判断しやすいので、狙われやすいのは防犯対策の弱い家かリスクを冒すだけのアテ(金目の物)がある家になります。

マンションの場合、敷地面積が広く共有部と専有部に分かれている為、個人で防犯対策を施すには限界や制限があります。
共有部に既設の防犯対策(監視カメラ)は位置の予測がつきますし、複数戸あるからこそ中には防犯意識の低い家やうっかり無締りな家がある率が高くなる、と侵入盗は睨んで物色に入ります。
 ※前回参照【マンションの危険 ①人】


「でもマンション中を一軒一軒チェックする方が面倒だし目撃されるリスクが高くなるのでは?」
確かに長居するとリスクは上がります。
管理組合から『〇月〇日ドアノブを回す不審者あり。注意してください』といった注意が回覧や掲示されたことがあるかもしれません。
これは無締り宅を探す際、ドアノブを静かに回しますが下手な侵入盗は音を立ててしまう、運悪く家主が玄関付近にいて気づかれてしまう、共有部で他の住人や訪問者に目撃されたからでしょう。

ドアにポストがあれば
覗かれる可能性も

しかし目撃されやすい一軒家周辺で不審者にならないよう下見に時間をかけるより、一旦建物内へ入ることさえできればマンション内の共有部は特に上の階ほど外からひとめにつき難い為、無締りの家や侵入しやすい家を探す作業を慌てる必要がありません。
全てハズレ(施錠されていた)だったとしても、犯罪は犯していないので堂々と帰ればいいのです。

訪問者の姿も見え難く
ドアや窓に何かしても分からない

そして侵入盗の心理として上階部に逃げ道を確保できない限り、「外からの見られ難さ」「不審がられた時の逃げやすさ」からすれば、上階まで一般人を装って一気に昇り、下へ向かって(逃げ道へ近づきながら)物色をしていった方がいざという時に逃げられる確率は高くなります。


■被害が一軒で留まらない可能性

重い荷物を運ぶ宅配業者さんにAさんが親切心でエントランスを開けて一緒に通してあげたら、侵入盗だった!
無締りだったBさん宅だけで済む場合もありますが、簡単にピッキングできる錠前だった為に不在宅が複数件被害に遭った
あるいは年末年始お盆連休、1ルームタイプ(仕事や学校で不在時間が長く分かりやすい)等、不在宅の多いフロアが破錠された等、被害が複数件に及ぶおそれがマンションにはあります。

他にも隣りからから隣りへ移動する手段がマンションにはあります。
災害時、住人の避難手段であるコレです。

無締りにせよピッキングや破錠にせよ、まずはどこか1軒侵入できれば物色後にベランダから不在のお隣りへ移動できます。お隣りとの仕切りは避難用に破りやすくなっているからです。
マンションの防音性は年々高い構造になっていて気づかれ難く、窓ガラスに穴を開ける音以上に何の音か分からない、しかも音のみの情報では、もし近隣が在宅で異音に気づいたとしても誤解だった場合に迷惑をかける為、通報しにくいものです。
こうして他の住人や訪問者と鉢合わせの危険がないベランダ伝いに、お隣りにまで侵入できてしまうのがマンションの怖いところ。


■空室が拠点になる危険

確実に人がいない空室は建物内への侵入拠点や隠れ場所になる可能性があります。空室のベランダまたは玄関から侵入し、お隣りを狙うという方法です。
空室はベランダ側から見て分かりやすく、エントランスや玄関前でもポストが封印されている、またはチラシが溜まっている、賃貸だと入居者募集の看板が敷地内にありますし物件サイトで調べることができます。

無断侵入対策として臨時で補助錠を設置する管理会社もあります。

工事不要の
空室管理用補助錠

※南京錠タイプは自宅用には向かない
工事不要の補助錠ですが南京錠タイプをご自宅用に使うのは危険です。南京錠がぶら下がっている時は不在だと泥棒に教えるようなものだからです。補助錠を付ける際は鍵穴タイプを選んでください。


■施錠しても入られる危険

ドアまたは窓の無締りが最も侵入されやすいのですが、施錠していても侵入される場合があります。

【玄関側にある窓】
玄関側の廊下に面した窓がある場合、大抵は面格子が既設されていますが、面格子のタイプや材質、ネジが防犯用特殊ネジを使用していない場合、簡単に外せてしまうことも。その作業は業者のフリができます。その為、窓からの侵入が外からはほぼ見えない階は要注意です。
面格子さえ外せれば窓に補助錠が付いていない限り、侵入は容易で物音も最小限で済むので、玄関の錠前を壊すより窓から侵入される可能性があります。
 ※面格子の防犯性能については【被害に遭いやすい家 其の弐】をご参照ください。

【ドアスコープ・ポストと錠前】
ポスト付きドアだと不在確認に覗かれることがありますが、侵入する手口としてもポスト付きドアは狙われます。
ドアスコープ(簡単に外せる、または壊せる)やポストから器具を入れて解錠するサムターン回しという手口です。

前述したピッキングしやすい錠前もありますし、ピッキングできない錠前であっても破錠という手段や強引にバール等でこじ開ける手段もあります。

 ※ドアについては【被害に遭いやすい家 其の参】をご参照ください。



■防犯対策強化の難易度

①ルールの徹底は人数が多いほど難しく、うっかり率も高くなる。
②敷地の広さ、形状や周辺設備・環境によって死角や足場の多さによっては対策すべき箇所が多く、経費がかかる。
③ルールを決める際は勿論、防犯対策の追加導入には経費含め、管理組合で話し合って総意を得なければならない。

様々な方が住むマンションでは
話し合う時間が必要

対策の難易度ばかり挙げましたが、マンションだってセキュリティを高めることは可能です。
個人で可能な防犯として最も有効な窓の補助錠は格安で賃貸にも可能な穴空け工事無しの製品から、防犯レベルの高い物まであります。
【窓こそ守ろう!お手軽編】
【窓こそ守ろう!ガッツリ編】

ドアにポストやドアスコープが付いている場合はポストを塞ぐか、サムターン対策品等で対応しましょう。最近のマンションは既設品がサムターン対策錠前の場合もあります。
【出入口を守ろう】

共有部に関しては話し合いが必要ですが、エントランスと裏口以外の想定される死角や侵入経路に監視カメラやセンサーを設置したり、柵や足場になる出っ張りに忍び返し有刺鉄線を張る等の対策を導入しているマンションもあります。

足がかりになりそうな所に
忍び返し
よじ登ってきそうな所に
忍び返し

一戸建てには一戸建ての、マンションにはマンションのリスク・脆弱性があり、特徴に合わせた対策・日頃の予防が重要です。
ルールの徹底は勿論、挨拶し合う、通達や掲示には目を通す。住人の顔を覚えておく為にも管理組合の総会には出て情報交換を行っておく。敷地内が綺麗に清掃・管理されているか・不具合故障は無いか目を配り、問題点・不審な出来事があれば管理会社・組合へ報告する等。しっかり管理されていることが傍から伝わることは、抑止力になります。

逆に住人同士が無関心で他人任せ、ゴミ出しや分別・エントランスの出入り等の管理が緩い、管理会社の動きが遅い、掃除が行き届いていない、故障個所がある、植木の手入れがされていない、全体的に汚れていたり荒れた印象等のマンションはターゲットに選ばれやすくなります。
マンションの大規模修繕工事で外装まで綺麗にするのは侵入盗予防でもあります。

年末年始も近づいておりますので、一軒家の方もマンションの方も是非ご用心を。
年末年始の長期不在前に防犯対策しておきたい!という方はお早目に。
対策品(電池錠やキーレス等)によっては扱い慣れないまま休暇に入ってからのトラブル発生は危険です。

防犯診断・対策のご相談・防犯商品のご紹介・お見積もり、お気軽にどうぞ。

【お問い合わせ方法・各種】



マンションの危険 ①人

マンションに住んでいると「複数戸ある中でウチが狙われる率は低い」「狙われるのは1~2階でしょ。ウチは上階だから順番的に最後の方」という気がするかもしれませんが、そうとは限りません。

逆に「何で数十戸の中でウチが狙われたの?」とならない為に、マンションの防犯上のデメリットを知っておきましょう。
※前回・前々回UPしたニュースに合わせてマンションと記載していますが、分譲だけでなく賃貸含めた集合住宅全般に共通するリスクです。


■防犯意識の差

一軒家やマンション1階だと敷地内で通行人と目が合ったり、外から室内が見えてしまうことも。
不特定多数の行き交う道がすぐ先に広がっている一軒家やマンション1階では、自然と防犯意識が芽生えます。

2階の室内は見え難いものの住人の様子を伺い知ることができますし、窓辺や戸口から通行人と目が合うこともあるでしょう。

しかし3階以上は家の中が伺い知れませんし、ベランダからでもあまり通行人と目は合いません。
上の階になるほど通行人の視線や気配から遠ざかるので、外の世界から隔てられた安心感という隙が生じやすくなります。

上の階だと住人も侵入者も
ひとめが気にならない

「忍者じゃなきゃ上がってこれないでしょ」とベランダの窓を開けたまま、あるいは鍵をかけずに就寝したりしていませんか?
 ※【NEWS:最上階は狙われる】
窓に補助錠を付けた方がいい度合いは1階2階、最上階が上位ですが、3階以上でも周辺環境や侵入盗の得意分野によっては入られる可能性があります。

施錠を忘れがちになっていませんか?
「ウッカリ」「すぐ出かけるからいいかな」「ゴミ捨ての間だけだし」「子供がそろそろ帰ってくるから」「荷物を運び入れる(出す)のに面倒だから…」などなど。
侵入されたニュースの手口を調べると多くは無締りです。
 ※【NEWS:マンション無締りは狙われる】
 ※【NEWS:高齢な窃盗犯と被害者】

2階~3階くらいまでは共有部の廊下をウロウロしたりドアの前で怪しい行動を取る姿が通行人に見えるかもしれませんが上階になるほど見えません。落下防止の壁や柵がドアノブより高い位置まであるからです。人の姿が見えたとしても地上からでは何をしているか分かり難いでしょう。

壁の高さはドアノブより上
小柄な人の脇付近

そもそも目を凝らしてずっと上を見ている通行人はいないので、上方の出来事は気づかれ難いのです。もし気づいても何が起こっているのか分からなければ助けてはくれません。

※以前の記事【子供とインロック】で大人がベランダに締め出されてしまう事例を紹介しましたが、マンションのベランダから叫んでもなかなか通行人に気づいてもらえないくらい、高さは視覚聴覚に影響します。



■共有部扉のリスク

共有部扉(エントランスや裏口)のオートロックを施錠にカウントしていませんか?

1階共有部のオートロックで出入りを制限できていると思い込み、マンション住人に隙が生じやすくなります。
しかし共有部のオートロックに防犯能力を求めるには難しい問題があります。


【複数の他人で施錠を運用】
一軒家の施錠は家族でルールを決めて運用できます。合鍵を持つ別世帯となった親族がいても忌憚なくルールの徹底を迅速且つ強く要求できる関係でしょう。

マンションは戸数の分だけ住人が多く、一軒家とは桁が1つも2つも多い人数が出入りすることになります。お互い必ず顔を覚えているわけではないので、挨拶しながら堂々と一緒にエントランスを通ろうとする他人を住人だと思ったら侵入盗だったということがあります。

その為、防犯ルールの定まったマンションでは『各自で鍵で開錠して自分だけが通る。訪問者には各戸ごと必ずエントランスのインターフォンで応答・確認してから開錠し、訪問者を直接玄関へ訪問させない。』等のルールが設けられています。
しかし人数が多いほどルールの徹底や意思の疎通は難しくなります。分譲マンションでも住人の入れ替えは結構発生する為、新しい住人へルールの周知徹底ができていなかったり、新しい人は他の住人の顔を知らない分、遠慮や気遣いから堂々と一緒に入ってくる偽物の住人を通してしまったりするおそれがあります。
さらには相手が悪質だと、子供を言いくるめて一緒に入ってくる等の手段を取ります。親から「鍵を開けたら入るのは自分だけ」と教えられていても、ひとりの時に大人に強請られたり、強引について入ってこられたら、怖くて子供では防ぎきれないでしょう。
他にも多い手口として宅配業者や管理会社(掃除等)、点検員等を装って開錠した人の後について一緒に入る手口もあります。

※住人を装って「カギを無くしたから開けてほしい」と他の住人にインターフォンで頼むという手口がニュースになりましたので追記します。
【NEWS:カギを無くしたという嘘】


【ルールを知らない住人以外も出入りする】
一軒屋の敷地内に入って許されるのは住人と住人が許可した訪問者だけなので、直接管理が可能です。
しかしマンションは他の住人が許可した訪問者が自分の知らない内に共有部を出入りします。


【住人以外が侵入盗を通してしまう】
本物の業者さんにまぎれてニセモノの業者その正体は侵入盗!が入ってきてしまう、実はコレがマンションの防ぎきれない危険です。

服装や持ち物がそれっぽいと
不審に思いませんよね

業者っぽい格好であれば疑われません。侵入用の道具持参でも作業用の道具だと思ってしまいます。
本物の業者さんは仕事中ですので防犯意識を高く持って警戒するより、急いで入れ違う相手をあまり気にしないかもしれません。普通の格好であっても堂々と入ってくる人は住人だと思い込み、遠慮してお先にどうぞといった感じで通してしまうおそれがあります。


【とにかく出入りが多い】
マンションは戸数の数だけ建物内への出入りが多くなります。居住者による普段の生活に必要な出入りだけではありません。
マンション全体の設備点検や大掃除、排水管洗浄等であれば事前に通知されますが、建物内の個別の対応は誰も把握しきれません。
宅配便や配食サービス、ヘルパー、点検や修理・取付等の作業員が頻繁に出入りする上、複数人で行うリフォームや引っ越し、家具家電入替えや不用品廃棄・ハウスクリーニング等、マンションの出入りは非常に多くなります。
出入りが多いほど隙は生じやすく、まぎれこみやすくなりますので、同フロアは勿論、他フロアでも何か作業が入っている際は特に用心が必要です。


【開けっ放し作業がある】
業者が大きな荷物や機材の運搬、保守点検や修理・清掃等の作業中はエントランスや裏口のオートロック扉を開けたままにする必要があります。その間は誰でも出入りできてしまいます。
引っ越しやリフォーム、マンション全体の設備点検や大掃除・排水管洗浄等の大がかりな作業が行われる時は要注意です。

※狙われる可能性があるのは共有部へ入りこめたマンションだけではありません。
玄関側共有部の上の階から向かいのマンションのベランダ側の様子を下見することもできますので、日頃視線を気にしないで済む階の方でも、泥棒心をくすぐらないよう用心に越したことはありません。


【直接玄関へ訪問】
マンション住まいのAさんは「ある時、エントランスのインターフォンではなく、直接玄関のインターフォンが鳴ってびっくりした。」そうです。
確認したら宅配業者さんでしたが、直接訪問されるのは初めてで本物かどうか疑いつつドアを開けました。
確かに本物の業者さんでしたがどうやって直接来たのか尋ねると、2軒分の荷物を持ってエントランスで1軒目へ連絡して開けてもらって中へ入り、最初の家へ届けてからAさん宅を訪ねたとのことでした。

これまでマンション内ルールが比較的守らてきたことから、エントランスがセキュリティのひとつになるという安心感に慣れていたAさんは突然直接訪問されるのは心臓に悪かったし、特に自分ひとりしかいない時間帯だったことから訪問者と自分を隔てるのが扉一枚しかない無い恐怖を味わったそうです。

この宅配業者さんに悪意はありませんし、マンション内のルールを知らないのは当然です。
一戸が招き入れた訪問者が他戸へ迷惑をかけない為のマンション内ルールも、いくら住人全員が頑張ってルールに則りエントランスのセキュリティを守ろうとしても、部外者にまで周知徹底はできない、一旦入った後の行動を誰も管理できないことを思い知る出来事でした。
これがマンションのつらいところです。

※宅配業者さんによっては、複数軒の荷物がある場合はエントランスで該当の戸すべてにインターフォンで順次お届けする旨を伝えてから開けてもらうよう指導されている業者さんも多いそうです。

※過去記事【周辺環境から防犯しませんか・集合住宅編】

※参考になる記事もご紹介
【カギを掛けずに入浴・就寝も わいせつ・窃盗被害が多発】


エントランスがオートロックの集合住宅でさえ侵入されるリスクがあるということは、オートロックのないタイプの集合住宅はさらに出入り自由、リスク増となります。


【NEWS】最上階は狙われる

「マンションだって狙われるよ。上の階だからって油断はダメ、むしろ危険」と注意喚起して参りましたが、物凄く事例になるニュースがありました。

【14階マンション最上階に侵入】
マンションは階数が上がるほど高額になるから上の階の住人ほどお金を持っていそう…というイメージに加え、最上階は侵入しやすい可能性がある為、実は狙われる率が上がります。
記事の動画には高層マンションばかり狙って4回逮捕されている侵入盗の手口が分かりやすく紹介されています。マンション住まいの方、マンション入居を検討している方は是非ご覧ください。

高所作業の経験と体を鍛えていた為、命綱無しの侵入が可能だったそうです。高所に長けた侵入盗は他にもいるでしょうし、命綱や縄梯子・道具等用いる手間暇をかければ、あるいは階層低めのマンションを狙えば、可能な窃盗犯はもっといます。
そもそもマンションは死角と足掛かりが多く、探せばどこかしら侵入経路が見つかってしまいます。

今回の事件のようにエントランスや裏口以外から侵入する場合、侵入盗は死角や足がかりになる物をチェックし、侵入できる経路を探します。
2階の通路や非常階段といった共有部にはセキュリティ対策の柵が大抵ありますが、3階以上は柵がない場合が殆どです。足がかりがあってよじ登れる、または隣りの建物との距離が近くてよじ登りや渡りが可能、商業施設が入っており侵入し易く非常階段から渡れる…侵入盗がそう思ったら危険です。
更には屋上から最上階のベランダへ降りやすいデザイン、足掛かり・命綱等を固定できる物がある等。
侵入を可能とするのは狙われたマンションだけでなく、その周辺環境にもあります

※マンションへの侵入を可能にしかねない物(足がかりや死角)
植木、柵や壁、配管、非常階段、エントランスや駐車場・自転車置き場等の屋根、物置、室外機用小型ベランダ、機械式駐車場、受水槽、消火防災設備、屋上バルコニー、看板、給水槽、太陽光パネル、等々…

マンション屋上にも色々ある

共有部までよじ登る想定の足がかりだけでもたくさんありますから、2階ベランダへの侵入なんて容易なわけです。2階建アパート、一軒家の方も充分お気をつけください。

過去記事【真夜中の脚立男】も参考にどうぞ


大半の侵入盗にとっては、とにかく!!窓!!です。最上階ベランダだろうが1階の狭い換気窓だろうが、2階テラスだろうが、対策されていない窓へ近づくことさえできればほぼ成功。そのワケは…
【窃盗に遭いやすい家 其の弐】 ※クレセント錠1ロックでは無締りとほぼ同じ

だからこそ、窓の防犯を推奨しております。
【窓こそ守ろう!お手軽編】 ※比較的安価且つ工事無しでもOK
【窓こそ守ろう!ガッツリ編】 ※要工事で防衛力強し!

防犯コラムで一番多くLINKを貼っているのがこの窓シリーズの過去記事というくらい、窓の防御は侵入者から我が家と我が身を守る防犯の要なのです。



【NEWS】マンション無締りは狙われる

マンション居住者は意外と無締りが多い…と聞きます。侵入盗に入られたニュースでも無締りだった部屋が狙われている場合が多く、特に1階共有部がオートロックの建物では格段に油断が生じる模様。
無締り理由は様々「ウッカリ」「すぐ出かけるからいいかな」「ゴミ捨ての間だけだし」「子供がそろそろ帰ってくるから」「荷物を運び入れる(出す)のに面倒だから…」
今回のニュースの場合は…

【引越の荷ほどき中に金づちを持った男が侵入】
名古屋市中区で引っ越してきたばかりの女性がマンション2階の部屋で夜間、玄関扉の錠を無締りのまま荷ほどき中に4人の外国籍風の男性が侵入。脅されてバッグの中の現金300万円を奪われたそうです。

※追記【引っ越し荷造り中で無施錠】
11/25のニュースで10月に名古屋市中区マンションで無締り状態で引っ越し荷造り中の女性、現金800万円や貴金属2300万相当が奪われる強盗事件の犯人5名逮捕とのこと。
内容が微妙に違いますので続報か別件か不明ですが無締りの怖さが分かる事件です。

この事件から分かることをまとめます。


■オートロックは無いも同じ

続報がないので想像で、この4人組はエントランスか裏口から侵入したのではないかと思われますが、1階共有部は宅急便や住人と一緒に堂々と通ってしまえばいいですし、表口は自動扉で非接触キー(電気錠)でも、裏口はオートロックのみの普通の錠前であることが多い。裏口は死角に位置することが多いので、ここを狙うことも可能です。

つまり、オートロックは解錠施錠の面倒を省く為だけの、防犯性能は無いに等しい存在だということ。



オートロックに防犯性を求めるならば、住人全員の防犯意識とルールの徹底、出入りする業者の方々の協力が必要になります。
過去記事【我が家の周辺環境から防犯しませんか?集合住宅編】 にまとめております。

事件当時この部屋はオートロック(ほぼ無いに等しい)+玄関錠無締りという完全な無防備状態だったということです。


■監視カメラは役に立つの?

「監視カメラは一定の抑止力(泥棒の性質によってのみ働く)しかない」「事件後の犯人の手がかりでしかない」ことを理解しましょう。

エントランスや裏口を通ったのなら、監視カメラに映ることを忌避しない犯人ということになります。

監視カメラに映りたくない犯人の場合、「カメラの死角を通ってベランダに近づける」「カメラの死角に足掛かりがあって共有部へよじ登ることができるポイントがある」マンションを狙うでしょう。

監視カメラが役立つ時とはカメラに映りたくない慎重派の犯人、例えば平成の大泥棒のように長くコツコツと泥棒稼業を続けたい、リスクを冒さないタイプに対して効果を発揮します。
 ※参照【令和の大泥棒】
しかしマンションは敷地が広く、デザイン的に死角が多かったり隣接建物や木立等によっては侵入できそうな経路が複数できてしまい、そのすべてに監視カメラがついているかというと、そうではない場合もあります。

ちなみに今回の被害者宅は2階、よじ登ることも可能でしょう。ベランダ側への通路に監視カメラはあってもベランダ側を映すカメラはプライバシー保護から設置が難しく、ベランダ内へ侵入できさえすれば、例え窓にクレセント錠をかけていても無締りとほぼ同じ、侵入は容易です。
 ※参照【窃盗被害に遭いやすい家 其の弐】

事件前日にこのマンションでベランダ側からよじ登ろうとする不審者がいて通報騒ぎがあったという情報もあるので、狙いやすい要素のあるマンション、または引っ越しのどさくさをピンポイントで狙われていた可能性も。


■引っ越しという状況

新しい環境・生活が整っていない状況は慌ただしく落ち着かないでしょう。うっかりや無防備さが出やすく、狙う側は容赦なくソコを突いてきます。

引っ越し中は部屋の扉を開け放って業者さんが出入りします。引っ越し業者さんは勿論、ガスや水道の業者さん、新居用に購入した家電家具の配送業者さん、デリバリー等に+マンション住人や他の部屋へ用のある業者さんもいる出入りの激しい状況下はマンション自体(エントランス及び共有部)も無防備です。

そんな状況下に加え、引っ越し時は何かと入用で、特に現金払が必要な場合もあるでしょう。
今回の被害総額はバッグの中の現金300万円ですが、現金を多めに持ち歩いてる時・家に置いている場合は、携わる業者さん、たとえ知人であっても知られないように細心の注意が必要です。
酔っ払って箪笥貯金をお店で自慢、レアなコレクションをSNSにUP、旅行の計画をSNSに書き込む、そういった行為によって就寝中や留守中を狙われた事件があります。

できるだけ引っ越し前・最中・後は現金を持ち歩かなくて済むようにしましょう。
各業者さんへの支払いが現金だとしても、金額は先に分かっている場合が殆どですので必要額だけ封筒に入れる等、別にしておき、他の支払い分やメインとなる所持金や在処は見せないようにします。

バッグも置き引きに遭わないよう注意すると共にさりげなさも必要です。警戒心露わで明らかに大金を持っていると分かる挙動は逆に注意を惹いてしまいます。

貴重品(通帳・キャッシュカード・印鑑、クレジットカード、株券、小切手、貴金属、その他高額な品)を引っ越し業者は運ばない筈です。
合わせて身分証(免許証・パスポート・マイナンバー・保険証・年金手帳等)、自分で所持・管理しましょう。
引っ越し最中にソレと分からないようにする、業者さんや通行人や他住人等の目に触れない工夫をして運び出し運び入れをしましょう。誰かがいる場では目を離さない、取り出さないようにしましょう。
個人情報につながる物も自分で運ぶのが安心ですが、業者さんにお願いする際はそれとは分からない、箱に隙間ができても覗いても見えない状態に工夫して梱包しましょう。


深夜にひとり、凶器を持った4人の男に囲まれて被害者の方はとんでもなく恐ろしかったと思います。こういう被害に遭わないよう、我が身を守る対策をできる限りして頂きたいです。



【NEWS】高齢な窃盗犯と被害者

7月12日名古屋市中川区にある集合住宅の無締りだった一室へ泥棒に入ろうとした72歳の男が逮捕されました。
在住者64歳男性が鉢合わせて通報、逃走した男は交番勤務研修中の警察学校初任科生23歳によって職質され逮捕。

72歳の犯人と64歳の被害者…侵入盗やひったくり等の記事で高齢者がターゲットにされやすいと注意喚起しておりますが、ターゲットになりやすいと思われる側が犯人ということもありえる。
相手の見た目や年齢で警戒心を解いてはいけいないという事例ですね。

他にも岡崎市内の侵入盗2人組は66歳と55歳、千葉県の高齢者住宅で70代介護職員が90代男性の部屋から窃盗の疑い、北海道で71歳が金目の物目当てに無施錠だった脱衣所の窓から71歳女性宅へ侵入して逮捕等々…ひしひしと日本社会全体の高齢化→狙う側も狙われる側も高齢化ということでしょうか。

長寿を祝い労うのが
高齢者に対する一般人の感覚
しかし…

ニュースでは警察学校の初任科生が発見・職質して逮捕につながったことから、若い力に期待を寄せる内容になっていました。
漫画「ハコヅメ」でもよく20代の警察官がオッサンまみれの生活(同僚も被疑者もオッサンばかり)の悲哀が語られていますが、学校という箱庭しか知らず人生経験という引き出しも少ないのに、自分の父親どころか祖父世代の相手を職質したり、説諭して供述を引き出して更生を促さねばならない警察のお仕事。
実際に今回の事件でこの初任科生が72歳に対して説諭したりはしない(職質・逮捕時にも教育係の警察官2名がいましたし)でしょうけれど、警察学校を卒業して現場に出れば、人生経験倍以上の人ばかりを相手にするわけです。この初任科生の初お手柄に拍手すると共に今後の活躍を期待し、私もいい歳なので個人的には若者が 厭世的な気分にならない年寄りになりたいなと思いました。

ご自身の年齢または親の年齢を意識した際に生活を守る為、防犯面だけでなく、次回は利便性を上げる対策をご紹介したいと思います。


令和の大泥棒から学ぶ

空き巣・居空き・忍び込みといった侵入盗が活発になる時期になりました。
『令和の大泥棒に判決』被害総額5000万円以上、8年間逮捕されなかった令和の大泥棒。長い間、空き巣という犯行を成功させてきた令和の大泥棒の4つの掟とその手口から、被害者宅はなぜ狙われたのか?狙われるリスクをどうやって減らせるか、読み取ってみます。
ご自身のお宅に置き換えて気をつけるべきこと、防犯対策すべき点の参考にして頂ければと思います。


■4つの掟

①防犯カメラのない家を狙う
②留守の家を狙う
③靴を脱いで室内を荒らさない
④庭がきれいな家を狙う

①②③は姿を見られない・映像を残さない、痕跡を極力残さない、スピーディに窃盗を済ませる、ということでしょう。
家主の留守中に痕跡を極力残さなければ、盗まれたことに気づかれるまで時間を稼ぐこともできます。

④の庭がきれいな家を狙うは「家主の几帳面さの表れであり、家の中も整理されていて金目の物を発見しやすいから」とのことでした。


以前侵入盗の記事に載せましたが、これまでよく言われてきたこととして「室内や敷地内の整理整頓がされていない」というのがあります。【窃盗に遭いやすい家 其の壱】
まったく逆じゃん!となりますよね。
しかしこの理由は、「室内が整理されていないと侵入の痕跡・家探しされた痕跡に気づかれにくい」「泥棒は現地(被害者宅)で侵入に必要な道具を用いることが多く、玄関付近や庭にある掃除道具やガーデニング用品等が利用されやすい」からです。
【真夜中の脚立男】

他にも防犯上、家の周囲や庭をきれいにしておいた方が良い点があります。
「自分の家の前を掃除しておく」=周辺環境に無頓着なエリアは狙われやすい
【我が家の周辺環境から防犯しませんか? 其の壱】
「植木を定期的に剪定して整える」=鬱蒼とし死角になる場所、または侵入さえすれば道から庭の様子が見えない家は狙われやすい


この真逆の理由は泥棒する側の着眼点の違いではありますが、文章で伝える難しさも感じました。
分析された内容を箇条書き+説明分で載せていますが、周辺環境や家の立地、庭のデザインや植木の種類等々で各家それぞれの風景も状況も違います。そして下見に現われた侵入盗の着眼点によって「この家ならイケる」と判断されるか侵入を回避されるかの分かれます。
守る側からすると混乱しそうです。
しかし!人目を避け、誰も傷つけず、速やかに盗みを実行する令和の大泥棒は大きなヒントも示していますよね。

顔を極力隠しても、やはり見られたくない!映りたくない!わけです。

例えば、自宅の防犯カメラ前では顔を覆っても、覆ったまま街中を歩くのは即不審者として通報されかねません。顔を出して一般人にまぎれながら道を歩けば、どこかの監視カメラに映っている可能性があり、背格好から絞られる可能性があるわけです。
監視カメラ映像は決まった日数で消去されてしまうので、家主が気づくのが遅いほど捜査も遅れて映像も消えるので②③④の掟が活きてくるのでしょう。

合わせて、手口からも対策すべき点が分かります。


■手口

①犯行時刻は日没から午後9時
②タンス貯金をする高齢者を狙う
③無施錠の家を狙う

【窃盗に遭いやすい家 其の壱】で一番に挙げている無施錠・無締りの家がやはり最も狙われやすいということです。
ところで、取材に応じた被害者の方は「防犯カメラ無し、旅行中、整理された庭」と掟通りで、から入られています。
冒頭で侵入盗が活発になる時期と書いたのも、暖かくなると換気等の頻繁な開け閉めで窓が無防備になりやすいからです。
「うっかり閉め忘れ」もあれば「面倒だから開けたまま」「1階の窓じゃなければ大丈夫だろう」「小さな窓なら大丈夫だろう」「暑さで開けたまま就寝」…こんなことが増えますが、これこそが侵入盗の狙う無締りであり、非常に危険です。

泥棒の侵入経路ナンバー1は『窓』です。【窃盗被害に遭いやすい家 其の弐】 しかし鍵の無い窓が殆どです。
ここで言う窓の鍵とは、クレセント錠を除きます。誰でも開けられるモノは泥棒にとって施錠されているとは言い難い状態だからです。なぜか?→ ※作業事例【クレセント バイパス解錠】
お分かり頂けたでしょうか?カップメンが作れる程度の時間で壊したり傷を残すことなく…もしくは2~3cmガラスをこじ割って指一本入れられれば開けられる(泥棒の多くはこの手段)のがクレセント錠なのです。

窓が侵入経路ナンバー1な理由は、窓の閉め忘れだけでなく、標準で窓に付いているクレセント錠しかかけていないことが理由です。
【窓こそ守ろう! お手軽編】 【窓こそ守ろう! ガッツリ編】


令和の大泥棒は人を傷つけないことが掟でしたが、運悪く遭遇した家主を逃げる為に襲った侵入盗も少なくありません。ある侵入盗はまず台所で包丁を入手(身を守る物を現地調達)してから金品を探す手口でした。

生活用品である包丁の在処は分かりやすく
持つ者によって恐ろしい凶器と化します

昼寝や帰宅時、就寝中に侵入盗と遭遇する危険については【無締りの怖さと危険性】ご参考ください。

ちなみに令和の大泥棒の犯行時刻は、あくまで暗くなって人の顔が見え難い時間帯を狙いたい空き巣の一例です。日中を狙う空き巣や居空きもいますし、忍込みはそれこそ午後9時以降~深夜を狙います。


■防犯対策のポイント

①玄関・勝手口・門扉・窓を無締りにしない
やはりこれが一番外せない対策だと思います。バール等でこじ開ける手荒な窃盗犯もいますが、日頃から施錠をしっかりすることが防犯の要になります。

②我が家の弱点を分析・把握して対策
令和の大泥棒は庭がきれいな家を狙っていましたが、庭が放置され片づけが下手な家を狙う泥棒もいる上、掃除道具やガーデニング用品等は侵入の道具としてだけでなく武器にもなり得るので、やはりきちんと施錠できる場所(家の中や物置)へ片づけておいた方が安心です。

効果的な位置に防犯カメラを設置すればかなりの抑止になりますが、気にしない泥棒もいます。そこには気にしない理由や手口があり、防犯対策はひとつで成り立つものではなく、それぞれの家にそれぞれの状況や事情がある上で、効果的な対策+日頃の用心・防犯習慣を欠かさない必要があります。

③防犯意識と日頃の用心
うっかり無締りに気をつける、安易に現金があることや旅行等の不在を明かさない(※参照【SNSと侵入盗】)。

他にも日頃の防犯意識としての習慣に関してはたくさんありますし、物理的な対策もあります。カテゴリの「地域の防犯」「建物の防犯」「特殊詐欺+侵入盗」に過去記事がありますので宜しければ参考にしてください。


■時代と共に危険な方へ変化

令和の大泥棒は「人目を避け、誰も傷つけず、速やかに盗みを実行する」が掟でした。
しかしコロナによって生活様式が変わってしまった際、外出外泊が減って在宅ワークや学校の早帰り・クラス閉鎖等でこれまでは不在時間の長かった家に誰かがいる状態が増え、しかも不規則。侵入盗には厳しい状況になりました。
そうなると最初から武器持参、手荒な手段を用いるタイプの空き巣が状況によっては強盗に変身!という危険が高まります。実際、子供達が空き巣に遭遇したという事件もありました。子供だからと侮って何もしないで逃げてくれればいいですが、捕まらない為に危害を加える可能性もあり、大変危険です。

在宅が増えて不在を狙えなくなった空き巣・居空きが特殊詐欺の手口で在宅時に侵入または強盗と化す事例もあります。【空き巣・強盗が特殊詐欺と合体!】


やっと平常が戻りつつありますが、今後も何が起きるか分かりません。一定数常態化した在宅ワークにより空き巣と遭遇率が上がる可能性もあれば、長い間皆で我慢した分、旅行やのんびり帰省が増えることで侵入盗は活発化するかもしれません。
改めて防犯の見直し・強化をおススメします。



「効果的な防犯カメラの付け方って?」「ウチの立地や家・庭の状況だとどこが弱点か知りたい」という方、防犯診断・対策のご相談・防犯商品のご紹介・お見積もり、受け付けておりますのでお気軽にどうぞ。
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