防犯コラムcolumn
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自動車窃盗もハッキングの時代
2021/12/07
前回のNEWSで紹介した通り自動車窃盗手口は新時代に突入、キャンインベーダー(CAN-INVADER)が主流となりました。
それを踏まえて自動車盗難状況と対策をまとめていきます。
■キャンインベーダー
現在流行中の手口。初めて摘発・機器を押収したのは2021年8月。
バンパー内部にある配線にモバイルバッテリー型の特殊機器を接続し、車の動作全般を制御するネットワークへ侵入します。侵入された自動車はセキュリティ(イモビライザー、ドアロック)もエンジン始動も制御されてしまう為、犯人は車体に傷も痕跡も残すことなく走り去ります。その間、5~10分。容易かつ迅速な手口です。
コードグラバーやリレーアタックのように、スマートキーの所在(自動車との距離)を気にする必要もなく、狩り場(駐車場)から獲物を選んで単独でも犯行が可能。
■コードグラバー
スマートキーの電波を傍受してIDコードをコピーしてスマートキーの複製を作ってしまう手口。
専用機器はスマートキーに似た形状をしており、100m先まで傍受、高性能の機器なら500mの遠隔傍受が可能な為、スピーディ且つ単独でも犯行が可能。複数人で手間のかかるリレーアタックの進化版。
また、コピーと同時に妨害電波を発してローリングコード(施錠・解錠の度に新しい認証コードを発行するセキュリティシステム)も無効にします。
駐車場に自動車を停めた持ち主はその場を離れ、気づかない間にスマートキーからIDコードを盗まれ、自動車も盗まれてしまうのです。
■リレーアタック
コードグラバーが流行する以前の手口。
スマートキーの電波を駐車場の自動車まで中継してロック解除、エンジン始動させてしまう。
スマートキーの発する電波の発信距離は約30m、建物内にいる持ち主のスマートキーを外から受信機を用いて受信・増幅させて駐車場の自動車付近にいる仲間へ電波をリレーします。2~3人で行われることが多い模様。
犯行グループの1人は必ず持ち主、または家のそば、もうひとりは自動車のそばにいることになります。スマートキーと自動車は勿論、家の周辺へ不審者を寄せつけないことが大切です。
■イモビカット
スマートキーが主流の現在ですがそれ以前の、イモビライザー(防犯装置)搭載の自動車を盗む手口もあります。
物理的な鍵とIDコードの両方が照合されないとエンジンを始動させないイモビライザーですが、イモビカッター(ID消去)という機器があります。また、我々専門業者しか購入できない筈のイモビライザー複製機器を海外から不正購入できるルートもある模様。
■レッカー
駐車禁止でレッカーされるだけではありません。まさに力技!希少価値の高い、あるいは高級なスポーツカーがよく”レッカー”されてしまう模様。
■犯行の下見マーク
家のポストや表札、メーター等の気づきにくい場所に泥棒がシールや記号でマーキングを残しますが、自動車にも下見のマーキングがあります。
自動車の下見マークの場合、買い取り業者やセールスを装って駐車場内を回り、チラシや伝言?等を貼ったりワイパーに挟んだりします。
契約駐車場ならば管理人や利用者を装うことも。空き巣の下見でも書きましたが犬の散歩を装う場合もありえます。
目的は犯人グループの中で獲物を見定める係が盗む価値のある自動車・盗みやすい自動車に目印をつけ、実行係に知らせること。
更にはチラシや張り紙の撤去状況で持ち主が自動車に近づく頻度を計ること。チラシや張り紙の放置期間が長いほど持ち主が自動車に近づく頻度が少ない=盗む機会が多く、盗まれてもすぐ気づかないからです。
『すぐ気づかれないことは犯行グループにとって重要!!』
自動車盗難は時間との勝負になります。その日の内に発見できなければ、ほぼ無事に戻らないとも言われます。
盗難車は殆どの場合が解体されて海外へ輸出されるか、他の車へ生まれ変わって流通ルートに乗せられます。その間3~4日とも言われ、探すべき自動車は跡形もなく、あるいは外見を変えてしまい、探しようがなくなってしまいます。
■犯行グループの役割分担
キャンインベーダーやコードグラバーは単独でも実行可能ですが、自動車窃盗の多くは役割分担されたグループだそうです。
実際の防犯カメラの映像では、単独で可能な手口(キャンインベーダーやコードグラバー)を用いている場合にも作業係と見張り兼車両移動係らしき2名が映っていることがあります。
おおよその分担は下のような感じでしょうか。
下見係 → セキュリティ解除係 → 移動係 → 解体係 → 事務手続き・売買・輸出手配係
移動係の手から取り返すか、解体の順番待ちで保管されている(ことがあるならば)僅かの隙に発見しないと厳しいでしょう。
次回からは盗難状況と、対策・その注意点等をまとめます。